熊日「読者の広場」投稿文

 学校応援団活動について、過去に投稿したものです。


平成19年4月10日 

                           学社連携したそろばん学習

 先日、公民館講座「そろばん教室」の講座生が小学3年生のそろばんの授業を手伝った。
 「そろばんはどんなときに使うでしょうか?」の先生の問に、「そろばんは昔の電卓」とか「お金を計る(計算の意味)とき使う」などと発表し、子どもたちはそろばん学習に興味を示していた。
 そろばんの名称や5珠、1珠の意味、数の表し方と読み方、簡単な足し算、引き算を先生が全体指導された後で、私たちはグループごとに指導助手を務めた。珠を人差し指だけで入れる子、親指だけで入れる子、先に暗算で答を出してから入れる子、5珠を使った足し算が理解できない子など、子どもたちはさまざま。一人ひとりに計算の仕方と指使いを手を取り教えた。計算が出来ると「ヤッター!」と喜びを表していた。
 授業終了後、講座生が掛け算、割り算、読み上げ算、読み上げ暗算の模範を示した。珠を素早く動かし計算する姿を見て、子どもたちは「うわー、すごい」の言葉を発し、そろばんで正確に、素早く計算できることに驚いていた。そして「ぼくもそろばんを勉強しよう」「おばあちゃんのそろばんを借りて練習しよう」と口々に言っていた。
 社会教育の場で学んだ成果を生かして学校教育を支援する「少子・高齢化時代の学社連携」を求めた試みは大成功だった。



平成20年4月6日 

                  知識や技能で子どもを支援

  「今日はそろばん名人さんと一緒に学習します。」先生の巧みな指導でそろばん学習が始まった。公民館講座「そろばん教室」の受講生6人が授業を手伝った。
 先生の丁寧な指導で、子供たちは1珠や5珠の意味、数の読み方す直ぐに理解できた。1珠を入れるときは親指、1珠を取るときと5珠を入れたり取ったりするときは人差し指を使うことも理解できた。
 個別学習になり、私たちボランティアの出番がきた。子どもが珠を入れる様子を観察すると、親指で入れるか、人差し指で入れるかを一生懸命考えて入れる様子が手に取るように分かる。珠を入れたところで、「よくできたよ」と頭をなで褒めると笑顔が返ってくる。1時間の授業があっという間に終わる。授業が終われば、運動場に飛んでいく子どもたちが、「おじちゃん、教えて」とさらに難しい問題に挑戦する。
 授業後短時間ではあったが、子どもの学習について先生と情報を交換した。先生は、日頃見えない子どもの良さが見えて大変良かったと話された。本年度から地域で学校教育を支援する文科省の学校支援地域本部事業が始まる。公民館講座で学んだ知識や技能を生かし、子供たちの更なる成長を側面から支援していきたい。



平成20年11月6日
                      子どもを地域で育みたい

 京都大学霊長類研究所の正高信男教授は、「ヒト以外の動物に老人は存在しない。老人とは、繁殖を停止したのに、なおかつ生きているヒト。生物にとって子孫を残すことは何よりも大事な役目。子孫を残す役目を終えると、その個体は無用の存在となる。なぜヒトは子孫を残す役目が終わってからも生きているか。それは、社会的には生きる知恵を伝え、家庭にあっては子育て支援に関わってきたから。」と述べられたことがある。
 少子・高齢時代の今こそ社会の第一線をリタイアした人の出番だ。今の若者は大学を卒業するまでに親と先生以外の大人との会話がとても少ないという。
 私は小さい頃、近所の大人から「そぎゃんこつすると、父ちゃんの泣かすぞ」「おっ、ええこつしよるね。じいさんの喜ばすぞ」と声をかけてもらっていた。また、時には「もうちょっとがんばれ」と背中を押してもらってもいた。
 ある研修会で「子縁」という言葉を聞いた。子どもや孫のつながりを通して、地域の宝である子どもたちを地域ぐるみではぐくみたいものだ。



平成21年10月29日

                          地域と連携の学校教育期待

 先日、上益城学校・地域連携フォーラムが甲佐町生涯学習センターで開催された。
 和水町立菊水南小学校の放課後子ども教室、芦北町立田浦小学校の学校支援地域本部事業、菊池市立泗水小学校のコミュニティースクールの実践発表を聴くことができた。いずれの学校も「地域の子は地域で育てる」という考えが根底にあるようだ。
 「学校に地域の人がいつも来ているので知っている人が増えた」、「地域の人が地域のことや昔遊びをを教えてくれるので勉強が面白くなった」などの声が子どもから聞こえてくるようになったという。
 地域では、「これまでは漫然と散歩していたが、落ちているドングリを見ると『子どもとドングリごまを作ろう』などとひらめき散歩が楽しくなった」、「公民館で学んだこと生かして学習を手伝っているが、子どもは知らないことまで質問してくる。学習をし直さねばならないが、しがいがある」など住民に新たな生きがいが生まれてきているそうだ。 先生からは、「学校だけではできないことが体験でき、子どもたちがとても喜んでいる」「地域の人が学習指導の補助をしてくださるので時間にゆとりができ、子どもと向き合う時間が増えた」など喜ばれているらしい。
 このように、子どもも地域も学校も元気が出る「地域と連携した学校教育」がさらに広がることを切に願う。



平成23年10月12日
                             地域みんなで子ら育てよう

 9月に中国新疆ウイグル自治区天山南路のオアシス都市クチャを旅したとき、学校帰りの小学3年生くらいの少年が路線バスに乗車してきた。彼はシートに座ると、持っていたペットボトルを振り回したり、窓を開け、身を乗り出して道行く人に手を振ったり、顔を出して大声で話しかけたりと、危険な行為を繰り返していた。
 「危ないよ」と注意しようにも、言葉が分からず、注意できないでハラハラして見ていると、若いウイグル人の女性車掌が少年の席につかつかと歩み寄り、少年にあらがうすきも与えない毅然とした態度で厳しく注意し、窓を閉めた。車掌はバスから降りる少年に先ほどの厳しい態度とはうって変わり、笑顔で一言二言優しく語り掛けた。
 車中での危険な行為は毅然としかる。降車時の安全を守る行為は、注意を促し、優しく見守る。これこそ子ども一人ひとりの育ちを社会全体で応援することだ。
 クチャで目にしたことは、私の少年時代には日本のどこでも見かける地域の責任としてのしつけであった。しかし、最近はトラブルは避けようと、他人の行為にはあまり係わろうとせず、見て見ぬ振りをすることが多い。悪行は厳しく叱り、善行は大いに認め、褒め、地域みんなで子どもを育てていこうではないか。



平成24年3月13日

                            地域ぐるみで子ども応援を

 大学や高校の合格発表シーズンとなった。明暗さまざまの光景が繰り広げられている。以前は、大学や高校の合格者名が新聞やラジオで報道され、顔見知りの子どもの名前を見つけてお祝いの言葉を掛けたり、激励の手紙を出したりと、社会全体で子どもたちのがんばりや成長を見守っていた。今では、受験番号のみの発表で他者に合否は分からない。
 益城町では、公民館や放課後子ども教室でそろばん学習に取り組んでいる大人や子どもが150名近くいる。そのがんばりを町民に知らせ、地域ぐるみで応援しようと、商工会報で、商工会珠算検定合格者の氏名を知らせている。会報を見た親戚や知人はお祝いの言葉を掛けている。「頑張りよるねー。6級合格おめでとう」「3級・2級と上を目指さにゃんよ」「私もあなたのがんばりを見習います」など。このような言葉掛けにより、そろばん学習者はさらなる学習意欲を高めている。
 以前、鹿児島県の坊津町(現・南さつま市)では、有線放送で子どもの朗読を流し、地域を挙げて子どものがんばりを認め、褒め、やる気と郷土愛を高めていた。子どもの頑張りを地域ぐるみで、認め、褒め、励まし、伸ばそうではないか。




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